ルオー回顧展
1998/11/23
19世紀末から20世紀前半にかけてのパリで創作を続けた画家、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の作品を集めた「ルオー回顧展」を新宿の安田火災東郷青児美術館で見ました。
正直に言えばルオーの暗い画面、荒々しいまでの輪郭線とマチエール、人物の個性を捨象した抽象性の高い造型は自分の好みではなく、タダ券につられて見に行ったものでしたが、初期の伝統的な宗教画から、ペシミズムと社会批判を背景に描く道化師・娼婦・裁判官などの暗いテーマの連作、やがて明るい色彩と分厚く塗り込められたマチエールへと、ルオーの生涯にわたる画風の変遷を追うことができるよくまとまった展覧会でした。
安田火災東郷青児美術館といえば贋作論争が喧しいゴッホの《ひまわり》が有名ですが、ほかにもゴーギャンの《アリスカンの並木路、アルル》、セザンヌの《りんごとナプキン》が所蔵品として展示されており、ルオーの重苦しい絵の後ではほっとさせられました。