第20回世界バレエフェスティバル
2003/08/09
第20回世界バレエフェスティバルのBプロを、東京文化会館大ホールで観ました。18時から始まって終演は22時。
演目は以下の通りです。
演目 | ダンサー | 振付 |
---|---|---|
「白鳥の湖」黒鳥のパ・ド・ドゥ | タマラ・ロホ ホセ・カレーニョ |
マリウス・プティパ |
「小さな死」 | オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ |
イリ・キリアン |
「海賊」 | バルボラ・コホウトコヴァ イナキ・ウルレザーガ |
マリウス・プティパ |
「ラ・シルフィード」 | マリーヤ・アレクサンドローワ セルゲイ・フィーリン |
オーギュスト・ブルノンヴィル |
「夏」 | グレタ・ホジキンソン ロベルト・ボッレ |
ジェームス・クデルカ |
「レ・ブルジョワ」 | フィリップ・バランキエヴィッチ | ベン・ファン・コーウェンベルグ |
「ライモンダ」 | ガリーナ・ステパネンコ アンドレイ・ウヴァーロフ |
マリウス・プティパ |
「パキータ」 | アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス 東京バレエ団 |
マリウス・プティパ/ピエール・ラコット |
「葉は色あせて」 | アレッサンドラ・フェリ マルセロ・ゴメス |
アントニー・チューダー |
「ロメオとジュリエット」寝室のパ・ド・ドゥ | シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ |
ジョン・ノイマイヤー |
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 | ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ |
ジョージ・バランシン |
「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」 | アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル |
ウィリアム・フォーサイス |
「マノン」沼地のパ・ド・ドゥ | シルヴィ・ギエム ニコラ・ル・リッシュ |
ケネス・マクミラン |
「ヨカナーン」 | ジル・ロマン | モーリス・ベジャール |
「ドン・キホーテ」 | アリーナ・コジョカル アンヘル・コレーラ |
マリウス・プティパ |
前回、最後まで乗り切れなかった会場を「ドン・キホーテ」の奔放なパ・ド・ドゥで唸らせたホセ・カレーニョが、最初に登場。タマラ・ロホとのコンビでの「黒鳥」が、観衆の度胆をいきなり抜くことになりました。タマラ・ロホはポワントでの静止の長さでまず息を飲ませ、王子を篭絡する悪女の演技で確かな感情表現を示し、そして極め付けのグラン・フェッテは1ー1-4回転(!)のコンビネーション。プティパの振付作品では他に「海賊」「ライモンダ」「パキータ」そして「ドン・キホーテ」が踊られ、特に「ドン・キホーテ」ではアンヘル・コレーラによる片腕でのリフトや、まるでアイススケートのスピンのようにスピードアップする強烈に切れのいいピルエットが大きな拍手を集めました。
一方、コンテンポラリーでは「小さな死」と「夏」が同系統でいずれもバランスのマジックとでも言えるほど一瞬の緩みもなく、モーツァルトまたはヴィヴァルディの音楽を使いながら、様々なポーズ、ごくわずかな接点でお互いの身体にかかる重力を解き放つ動きを見せて、緊迫した素晴らしい舞台を作り上げました。また「イン・ザ・ミドル」は、ノイジーなリズム主体の音楽と地下室を思わせる白と黒の照明の中でダンサーの身体がメロディを紡ぎ出すような作品、ベジャールの「ヨカナーン」は上手後方からビアズリーによるサロメの大きな絵が舞台を見下ろしていて、最後にジル・ロマンが絵を突き抜けて行って終わるというもの(ヨカナーンとは洗礼者ヨハネのこと)。
観客に大ウケだったのは、「レ・ブルジョワ」でユーモラスなダンスを見せたフィリップ・バランキエヴィッチ。ジャック・ブレルのシャンソンに乗ってふらふらと酔っぱらった仕種からびしっと大技をいくつも決めて、まるで酔拳。「ラ・シルフィード」でのセルゲイ・フィーリンも喝采を呼び、「葉は色あせて」でのアレッサンドラ・フェリはいくつになっても妖精のような美しさが変わらず、「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」では超美人のディアナ・ヴィシニョーワがマラーホフを完全にくってしまった感じで拍手を集めました。
今回は上記にあげたもの以外も含めて充実のダンスが相次ぎ、トップダンサーの実力をまざまざと見せつけられて、会場は(もちろん私も)熱狂の嵐でした。