球体写真二元論 細江英公の世界
2006/12/10
恵比寿で知人のヴァイオリン演奏を聴いた後、一緒に食事に行けるようになるまで2時間空いたので、ちょうど東京都写真美術館で開催されていた「細江英公の世界」を観ることにしました。
同氏の作品は、6年前に松濤美術館でかなりまとまったかたちの展示を観ており、そのときの作品と重複するものが多かったので自分にとっては新味はなかったのですが、下のフライヤーにも載っている《ひまわりの子》はインパクトが強くて写真の前に釘付けになってしまったし、写真絵本《たかちゃんとぼく》《おかあさんのばか》を手にとって読むことができるのはこれまでの個展ではなかったことだそうです。あいにく時間がなかったので《たかちゃんとぼく》は読めなかったのですが、《おかあさんのばか》は病気で母親を亡くした少女がその後を健気に生きていく姿を、少女自身の詩に寄り添うように写真で描くもの。三島由紀夫や土方巽、大野一雄といった強烈な個性とカメラで切り結んできた氏の作品群とは趣を異にし、被写体に対するとても優しい眼差しが感じ取れる写真になっていました。