塾長の鑑賞記録
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塾長の鑑賞記録

Richard Bona and Mandekan Cubano with 熊谷和徳

2012/05/14

ブルーノート東京でRichard Bona and Mandekan Cubano with 熊谷和徳のライブ。

Jaco Pastoriusの再来として主としてジャズ / フュージョンシーンで活躍するカメルーン出身のベーシストRichard Bonaの名前はこれまで時折目にしており、一度はそのプレイを直に見てみたいものと思っていました。一方の熊谷和徳は、日本を代表するタップダンサー。2011年4月にブルーノート東京でピアニストの上原ひろみと競演した模様を、たまたまUstreamで見たことがあります。いまだ行ったことがないブルーノート東京でこの2人のカップリングが実現するということなので、迷わずチケットをゲットしました。

21時前、初めて訪れたブルーノート東京は、表参道駅から徒歩10分ほど。しばらくエントランスで待ってから番号で呼ばれて入った地下のスペースは、ゴージャスなクラブの雰囲気が漂いつつも意外に客層が若く、活気が感じられます。下手側から真横に近い感覚で見るステージ上には、ピアノ、パーカッション、マイクがしつらえられており、さらに上手側にタップ用の小ステージがセットされていました。あらかじめ食事は済ませてあったので、案内された席でお酒だけを注文し、会話を楽しみながら待つことしばし、何の前触れもなくミュージシャンたちがごく自然に客席の間を通ってステージ上に姿を現すと、客席の照明が落ちて場内の雰囲気が変わりました。

今回のRichard Bonaのバンドは、名前からも容易に想像できるとおり、キューバ系ラテン。ピアノとベースが音楽の骨格を作り、トランペットとトロンボーンが動機となる旋律を、パーカッション2人が曲の装飾を、それぞれ担当するという感じです。Richard Bonaのベースは極めてソフトなタッチで、ネックに近いところでデリケートに弾かれていましたが、音量は控えめながらも十分に芯のあるしっかりしたトーンが出ていました。そして、そのゆとりを持った5弦ベースの演奏に乗って各楽器がそれぞれに輝かしいソロのパートを繰り広げ、客席を魅了していきます。そして予想外だったのは、全ての曲にRichard Bonaのムーディーなヴォーカルが入っていたこと。正直、予約した時点ではジャズの厳しいリズムの上でベースを弾き倒すBonaを予想したのですが、その予想は完全に裏切られました。しかし、これはこれで楽しいかも。

いかにもラテンなフレーバーの1曲目、ボサノヴァのテイストも感じられる2曲目、ベースの細かいパッセージから入る3曲目。続いてRichard Bonaのハイトーンの優しいヴォーカルから、非常にゆったりとしたリズムのムーディーな曲。ラテンミュージックの幅広さ・奥深さを目の前に繰り広げてくれているような演奏が続きますが、それにしても、何語で歌われているのかさっぱりわかりません。そして、Richard BonaのMCによって、このプラットホームの上にアフリカの魔法でゲストが現れるんだと紹介されて(小さな裏声で「ホントニアフリカンマジック?」と自分にツッコむRichard Bona……)、リズミカルで陽気なリフレインを持つ曲の途中から熊谷和徳が登場しました。赤いシャツをはためかせながら、目にも止まらぬ足技を繰り出す熊谷和徳に会場はヒートアップ。確かにこれは凄い!

キメのフレーズをユニゾンで終えていったん熊谷和徳がステージを去り、舞台上はベースをスタンドに置き椅子に腰掛けたRichard Bonaとピアノの2人だけとなって、切々としたバラードが歌われました。しんみりと聞き入った会場を引き立てるように、再び熊谷和徳が登場してタップのソロ。そこへRichard Bonaのマウスパーカッション(?)も加わってのインプロヴィゼーションになりましたが、打楽器音のシミュレートだけでなくいびきのようなノイズやら猫の鳴き声やら「スイマセン!」といったセリフも繰り出された訳のわからない競演になって、会場は大笑い。そしてシームレスに全楽器のキメが入り、パーカッション2人とタップとの激しいバトルがどこまでも熱いアップテンポな曲で本編が終了しました。

アンコールは、パーカッションのフリーなパターンの積み重ねから。客席との掛け合いがなんだかうまくかみ合わずにあれれ?という笑いが広がったところでホーンが入り、細かいマーチ風のリズムを持つ風格のある曲へ。「Oba obala」というリフレインの後に続いたもの凄いパーカッションバトルに圧倒し尽くされた客席が興奮の頂点に達したところで、Richard Bonaとバンドとは唐突なまでに見事に息を合わせて、演奏を終了しました。

ミュージシャン

Ruchard Bona bass, vocals
Osmany Paredes piano
Dennis Hernandez trumpet, chorus
Osvaldo Melendez trombone, chorus
Luis Quintero percussion
Robert Quintero percussion
熊谷和徳 tap dance

セットリスト

  1. Ekwa Mwato
  2. Cubaneando
  3. La Negura Tomasa
  4. Bolero
  5. O Sen Sen Sen
  6. Flor Deliros
  7. Tap & Voice
  8. Te Dikalo
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  9. No Title Tune

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