星野道夫の世界

1998/09/19

銀座松屋で、写真家・星野道夫氏の遺作150点余を展示する「星野道夫の世界」展を見ました。

アラスカの自然に魅せられ、極北の景観と生き物たちの姿を写真に撮り続け、美しい紀行文とともに紹介し続けた星野道夫氏が、カムチャッカ半島で取材旅行中にヒグマに襲われてこの世を去ってから2年。北海道在住の山仲間・KT氏の勧めもあって彼の最後の作品(未完)となったフォトエッセイ『森と氷河と鯨』を手にしてから彼の作品に関心をもち、機会があれば展覧会に足を運びたいと思っていました。

会場は大変な盛況で、そのために落ち着いて作品を鑑賞することは難しかったのですが、大きなパネルに展示された数々の写真やVTRからは、アラスカの大地とそこに住む動物たちの厳しい生への星野氏の敬意と愛情がこちらにもはっきりと伝わってきました。

▲秋の原野、水を飲みながら憩うムースの親子。遠くにマッキンリー山の壮大な姿。
▲遡上するサケとそれを狙うグリズリー。サケの目の前には確実な死がある。
▲群れから離れて雪解けのツンドラをさまよう一頭のカリブー。
▲不思議な赤味を帯びたオーロラ(ノーザンライツ)。星野道夫が最期の瞬間に瞼の裏に見たものは、このオーロラの赤い光であったかもしれない。
▲遺作となった『森と氷河と鯨』の表紙にも使われた作品。クジラの骨の遺跡、ベーリング海に浮かぶ半月。いつかこの景色の中に自分も立ちたいと痛切に願う。

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