Jeff Beck
1999/06/03
東京国際フォーラムでJeff Beckのライブ。
Jeff Beckは、その長年のキャリアの中で寡作ながら毎回予想を上回る品質の高い作品を発表してきました。今回は10年ぶりの最新作『Who Else!』をひっさげてのツアーで、今日は日本公演の最終日にあたります。自分にとっては1980年の『There and Back』のツアーでの日本武道館以来だからほぼ20年ぶりのリアルJeff Beckです。
ステージは、定刻を15分ほど過ぎて『Who Else!』のオープニングナンバーである「What Mama Said」で始まりました。メンバーの配置はフロント向かって左がベース(Randy Hope-Taylor)、右がギター(Jennifer Batten)、真ん中うしろがドラム(Steve Alexander)。Jenniferのタッピングによる強烈なイントロのリフが鳴り響くなかJeff Beckが登場して観客は総立ちになり、メイン・リフから爆音で演奏に参加したJeff Beckはとても55歳とは見えない若々しい姿(『Who Else!』のジャケットそのまま)で次々に刺激的なフレーズを叩きつけ、そのまま新作からの曲を3曲続けたのち、懐かしい「Star Cycle」のイントロのシンセ・フレーズをギターで再現。その後も新作からの曲を中心に据えながら、前作『Guitar Shop』からの曲や「Led Boots」「Blue Wind」など往年の名曲を弾いてくれました。また、The Beatlesの「A Day in the Life」を艶やかなアレンジで演奏したのにも驚きました。
サポートメンバーに関しては、手数足数の多い派手なドラミングのSteve Alexandeもさることながら、やはりJennifer Battenのギターが特筆されます。といってもギターでアピールしたのは冒頭の「What Mama Said」とアンコール前の「Blue Wind」でのソロの応酬くらいで、むしろMIDIギターでシンセサイザーをコントロールしキーボードの代わりをつとめていたことが目立ちました。また「Declan」ではSteve Alexandeがキーボード、Randy Hope-Taylorがギターを弾いていました。
それにしてもやはりJeff Beckは凄い。使用されたギターは何本かのStratocasterと1曲だけTelecasterでしたが、ピックを使わないスタイルから紡ぎ出される音色やフレーズの一つ一つが全て彼ならではの個性的なもので、ギターを抱きかかえるようにネックを引き寄せたり右手を頭上高く突き上げたりといったポーズが今は死語に近い「ギター・ヒーロー」という言葉を違和感なく思い起こさせます。叙情的な曲も彼のもう一つの持ち味ですが、前述の「Declan」のほか、名曲「Cause We've Ended as Lovers」は限りなく美しく、「Where Were You」ではアーム操作だけで複雑なフレージングを見せてくれました。
ミュージシャン
Jeff Beck | : | guitar |
Jennifer Batten | : | guitar |
Randy Hope-Taylor | : | bass |
Steve Alexander | : | drums, keyboards |
セットリスト
- What Mama Said
- Psyco Sam
- Brush with the Blues
- Star Cycle
- Savoy
- Blast From the East
- A Day in the Life
- Declan
- THX138
- The Pump
- Led Boots / Drum Solo
- Cause We've Ended as Lovers
- Space for the Papa
- Angel(Footsteps)
- Even Odds
- You Never Know
- Blue Wind
-- - Where Were You
- Big Block