日本画の巨匠展 1

1999/09/25

三番町の山種美術館で「日本画の巨匠展 1」。

充実した所蔵品で有名な山種美術館はこれまでにも二度ほど訪れたことがありましたが、前は茅場町にあったのにいつの間にか千鳥ヶ淵近くの三番町に引っ越しており、面積もずいぶん狭くなっているのはどうしたこと?ともあれ今回はその所蔵品の中から日本画の巨匠の作品を披露しようという企画展の前半で、後半とあわせて見ないとなんとも言えませんが、やはり展示されている点数が少なく作品も地味で少々物足りない感は否めません。それでも「え、これが御舟の作品?」「高山辰雄もこういう絵を書いていたのか」と意外な発見もあり、それなりの収穫が得られました。

▲《梅雨晴》(山口蓬春:1966年)。鮮やかでいて柔らかい色づかいと独特の開放的な造形がいかにも山口蓬春らしい。
▲《年暮る》(東山魁夷:1968年)。京の町家の甍の上に降り積もる雪を通して除夜の鐘が聞こえてきそうな気がする。
▲《玄溟》(奥田元宋:1974年)。大きな画面いっぱいに朦朧とした紅葉と山霧が広がり不思議な迫力を感じる。
▲《閑鷺》(上村松篁:1977年)。今回の展示の中で最も気に入った作品。薄ぼんやりと黄色い全体の色調の中で、鷺の羽の純白とくちばしや目のくっきりとした黒が生命の存在感をアピールしている。