世界四大文明 中国文明展
2000/10/22
横浜美術館で開催されている「中国文明展」へ行ってきました。
こちらもまた凄い混雑でなかなか進まない列にうんざりではありましたが、それでも殷(BC1600-)周(BC1023-)時代の青銅製の遺物はサイズが大きく、高度な技術による緻密な造形と文様に圧倒されました。また、近年話題の三星堆文化の奇怪な人面などもあり、古代中国の青銅鋳造技術の粋に触れることができたのは収穫でした。これらは今でこそ青緑色にくすんでいますが、作られたばかりの頃は金色にまばゆく輝いていたに違いなく、そのような金属器に囲まれた古代中国王朝の宮廷とはどのような世界だったのかと興味津々です。そして御存じ秦の始皇帝の兵馬俑は3体の将軍・兵士が昂然と観衆を見下ろしていましたが、そのリアルな表情には圧倒的な存在感を感じました。
展示は先史から殷・周、春秋戦国を経て秦・漢に達し、さらに南北朝を経て隋・唐で終わっており、その中でも殷・周時代の遺物が充実していましたが、見終わっていまひとつ釈然としない気持ちになったのは、中国における「古代」の定義が自分の中ではっきりしていないからです。春秋戦国にしろ漢にしろ、さまざまな文化的影響を受けている我々にはなじみの深い世界であって古代文明と言われてもぴんときませんし、漢末〜三国時代における戦乱がもたらした生産力の低下が漢民族の絶滅ともいうべき人口激減をもたらし、文化の担い手としての地位が北方の胡族に委ねられた時点をもって古代の終わりとするなら隋・唐は範囲外。この点についての主催者側の意図を聞いてみたい気もしました。