マグリット展
2002/07/07
Bunkamuraザ・ミュージアム(渋谷)で「マグリット展」。
ベルギー生まれのシュールレアリスト、ルネ・マグリットは、見る者の五感に衝撃と不安を与える数々の作品で有名で、そこに描かれる非現実のイメージは極めてユニークなものです。特徴的なモチーフはいくつかあり、それは大空を切り取るような鳥のシルエット、硬質な球体、宙に浮く巨岩などであったりしますが、それらがさまざまに姿を変えてカンバスに描かれる様が、90点余りの作品を並べたこの展覧会でも存分に見てとれます。
ただ、自分の趣味からすると同時代に影響を与えあったであろうダリの光や透明な物体の描写に見られる写真と見まがうばかりの写実的なエッジの立った技法がむしろ好みで、マグリットの表現はよりナイーブでナチュラルなものに見えます。そういった意味で例外的な、そしてそれゆえに私が気に入ったのは、異形の家族(?)が部屋の壁の向こうに広がる夜の嵐の海を眺める《嵐のおめかし》(1927年)と、石と化して永遠に時が止まってしまった室内を描く《旅の思い出 III》(1951年)、そして夜と昼とが混在する無気味な屋敷を描く《光の帝国》(1961年)でした。




