エッシャー展
2002/11/24
Bunkamuraザ・ミュージアム(渋谷)で「エッシャー展」。
オランダで生まれたエッシャーは、イタリア在住時代に旅行で訪れたアルハンブラ宮殿のモザイクから空間の正規分割という、後の彼の版画に現れる重要なモチーフのインスピレーションを得、風景画の時代、メタモルフォーシスの時代(《昼と夜》など)、遠近法の時代(《上と下》など)、そして無限への接近の時代(《画廊》など)へとテーマを変容させながら、知的好奇心をそそる(それゆえに美術評論家からは長らく美術作品と認められなかった)作品群を制作し続けました。今回の展示は、いわゆるメタモルフォーシスやだまし絵でしか知られることが少なかったエッシャーの画業をその始めから体系的に紹介しているところに特色があり、極めて充実していました。
エッシャーの版画をまとめてみたのは高校生の頃以来で、そういえばあの頃は(男子校だったせいか)よく男同士で連れ立って展覧会に行ったりプールに泳ぎに行ったりしたものだ、と妙なことを思い出しましたが、今回の展示作品の中でも主だったものはそのときに観ていた記憶があります。ただ、今回の展覧会はかなり徹底した紹介ぶりで、その割に会期が2週間と短く会場は連日超満員だったために、最終日の開場時刻にチケット売場に並んだところ図録は売り切れていました。この展示は長崎のハウステンボス美術館収蔵品を公開しているものなのですが、そのハウステンボスの在庫も切れてしまったそうです。くー、残念。