インド・マトゥラー彫刻展 / パキスタン・ガンダーラ彫刻展
2002/12/01
東京国立博物館(上野)で開催されている「インド・マトゥラー彫刻展」「パキスタン・ガンダーラ彫刻展」へ行ってきました。
マトゥラーはデリーの南東、北インドの交通の要衝に位置し、1世紀から6世紀にかけてさまざまな仏像や神像を造り出す彫刻芸術の中心地として栄えた場所。マトゥラー彫刻は、赤色砂岩を用いたおおらかな造形に特徴があり、初期にはシンボルで表されていた仏陀をヤクシャ神像制作の応用として人物像化した点で、ギリシア美術の影響下に仏像を生み出したガンダーラ美術とともに際立った重要性があります。一方のガンダーラ彫刻はヘレニズム美術の最高の精華であり、細密で写実的な描写の美しさは言葉で説明するのが難しく感じるほどです。
この展覧会では、東京国立博物館・平成館の2階を左右に区分し、二つの彫刻美術を対比して見ることができます。特にガンダーラの仏立像や弥勒菩薩像の見事さには圧倒され、しばらく像の前で立ち尽くしてしまったほどでした。