特別展 桜 さくら SAKURA 2020

2020/07/25

今年は花見ができなかったので、山種美術館の「特別展 桜 さくら SAKURA 2020」を鑑賞。本来この展覧会自体が3月から5月にかけて開催されるはずだったところコロナの影響で中止になり、7月18日にようやく再開されたものです。

全体は三章に仕立てられており、「第1章 桜とともに」は他の主題を持つ絵画の中に桜が描きこまれているもの、「第2章 名所の桜」は題名の通り桜の名所を描いた作品、「第3章 桜を描く」は桜そのものにフォーカスした作品を並べています。

第1章で目を引いたのはフライヤーにも載っている菱田春草《桜下美人図》、隠岐に流される後醍醐天皇にあてて桜の幹に「天莫空勾践 時非無范蠡」と書きつけた児島高徳を描く橋本雅邦《児島高徳》、そして土田麦僊の大作《大原女》。第2章では奥村土牛の代表作のひとつ《醍醐》、山種美術館の所蔵品ではないながら奥入瀬渓谷の自然をそのまま美術館に持ち込んだかのごとき存在感を示す奥田元宋《奥入瀬(春)》、第3章では日本画ならではの繊細な筆遣いと落ち着いた色使いで枝垂れた桜に集う三羽の雀を描く渡辺省亭《桜に雀》、桜の花と赤い若葉が気品のある画面を作り出す小林古径《桜花》。他にも横山大観、川合玉堂、松岡映丘、速水御舟、さらには加山又造から(ちょっと意外な)千住博まで多彩な作品が展示されていて、季節外れの花見気分を味わうことができました。

展示されていた作品のいくつかはこれまで目にしたことがありましたが、今回自分にとっての発見は石田武(1922-2010)。高台寺の桜を題材とした《月宵》《春宵》や吉野の桜の山を見通す《吉野》での桜花の細密な描き込みや背景の空気感、そして前景に画面の上から垂れ下がる桜花を置きその向こうの水面を静かに波打たせる《千鳥ヶ淵》のモダンな構図と色使いには惹き込まれました。

上:石田武《千鳥ヶ淵》
下(左→右):同《春宵》《吉野》


表面:橋本明治《朝陽桜》
裏面(左上→右下):菱田春草《桜下美人図》 / 松岡映丘《春光春衣》 / 小林古径《桜花》 / 横山大観《山桜》 / 土田麦僊《大原女》 / 奥村土牛《醍醐》