John Wetton
1999/08/05
中野サンプラザでJohn Wettonのライブ。
この公演は本来Asiaのリユニオン・コンサートとしてアナウンスされていたのですが、マネージメントの勇み足があったらしくGeoff Downesがいち早く離脱を表明し、結局John Wettonのソロに差し替わったものです。招聘元のザック・コーポレーションはこのことを、直接申し込んだ客にははがきで通知するとともに朝日新聞にも小さいながら広告を掲載して広報に努めていましたが、当日会場に着くまでAsiaのライブと信じていた人もけっこういたのではないかと思います。私はと言えばチケット発売後かなり早い段階でインターネット上の掲示板で状況をつかめていましたが、John WettonのボーカルでAsiaのナンバーを聴ければ満足なのでさほどがっかりしませんでした。
定刻を10分強過ぎて18時43分にソロ作品『Arkangel』の「The Circle of St. Giles」がテープで流れて照明が落ち、舞台向かって左手からJohn Wettonが出てきましたが、その姿にはびっくり仰天。前回来日した2年前でも相当太っていましたが、ますます膨張してほとんどKansasのフォワード3人衆とかわらないビア樽体型です。その体型が災いしたのか、イントロダクションのテープが終わって間もなく「The Last Thing on My Mind」に入ろうとしているのになかなかベースを肩にかけることができずはらはらさせましたが、かろうじて間に合って演奏開始。声の方はよく出ており、ときどき不自然にひっくりかえるところもあるものの高音も伸びがあって調子がよさそうでした。メンバーはステージ下手にギターのDavid Kilminster、後ろがドラムのSteve Christey、上手がキーボードのMartin Orfordで、Davidの技巧は前回のライブで知っていましたがキーボードとドラムも文句ないうまさ。特にSteveのドラムは、骨太なサウンドながら要所で細かい技の効いたフィルを織り交ぜていました。面白かったのが「Rendezvous 6:02」のイントロでのドラムのフレーズで、一瞬Steve Guddの有名な「50 Ways to Leave Your Lover」かと思いました。さらに特筆できるのはDavidとMartinのコーラスで、たとえば「Sole Survivor」では三声のコーラスから曲に入るなど随所で完璧なハーモニーを聴かせてくれました。
もっとも、多くの聴衆はソロ作品にはなじみがないのか、またアコースティック・パート(セットリスト4.〜9.)の長さに不満だったのか、前半は盛り上がりに欠けどうにもノリが良くありません。加えて「Hold Me Now」では機材トラブルでDavidが舞台袖に引っ込んでしまい、スタッフが3人がかりでアンプの修理に苦闘するなどはらはらさせられました(このため急遽曲順を変えた可能性あり)。しかし、20年前にここ(中野サンプラザ)でこう言ったんだ。キミタチサイコダヨ
とお約束のMCでウケをとった後、U.K.の「In the Dead of Night」の7拍子のリズムで聴衆側もエンジンがかかり始め、アンコール前の「Starless」でようやくテンションが上がりきった様子。アンコール1回目の「Heat of the Moment」、2回目=ラストの「Don't Cry」では1階席が総立ちになり、大合唱で盛り上がりました。
ミュージシャン
John Wetton | : | vocals, bass, guitar |
David Kilminster | : | guitar, vocals |
Martin Orford | : | keyboards, vocals |
Steve Christey | : | drums |
セットリスト
- The Circle of St. Giles - The Last Thing on My Mind
- Sole Survivor
- Battle Lines
- Book of Saturday
- Keyboard Solo
- Emma
- The Smile Has Left Your Eyes
- Hold Me Now
- The Night Watch
- Only Time Will Tell
- In the Dead of Night
- Easy Money
- After All
- Rendezvous 6.02
- Time Again
- Starless
-- - Heat of the Moment
-- - Don't Cry