Mr. Big
2000/01/09
2000年最初のライブは、Zepp TokyoでMr. Bigのライブ。Paul Gilbert脱退後に新ギタリストRichie Kotzenを迎えて制作された『Get Over It』をひっさげてのツアーです。
Zepp Tokyoはスタンディングなのでいい位置を占めようと開場時刻に到着。すぐに順番が来て入場すると、ほぼど真ん中の前から15m位のところに陣取ることができました。プログラムを読みながら待つこと1時間、定刻を5分強回ったところで照明が落ち、効果音が鳴り響いて歓声が上がります。幕がさっと落とされて始まったのは、新譜のオープニングナンバーでもあるノリの良い「Electrified」でした。ステージ上は向かって左にベースのBilly Sheehan、中央がボーカルのEric Martin、右がギターのRichie Kotzen、中央奥はドラムのPat Torpey。Billyは例によってYAMAHAの特注ベース、RichieはTelecasterでCDで聴いていたのとは大違いの太く艶やかな音を出していましたが、それより何よりPatのドラムがすごい!構成は以前のツーバス / 2タム / 2フロアタムからワンバス / 1タム / 2フロアタムへとシンプルになっていますが、スネアから何から全てがよく鳴っており、ぐいぐい曲を引っ張っていきます。
曲は続いてPatのドラムに導かれて「Take Cover」、そしてRichieのギターにBillyのコード弾きが重なるイントロで「Green-Tinted Sixties Mind」。このイントロはPaulのときはタッピングで流れるように演奏されていたのですがRichieはこれをタッピングを使わずに再現していたのが特徴的で、この他の曲も含めて普通ならタッピングを使うようなフレーズでも彼は正確な左手のフィンガリングと右手のピッキングでこなしていました。またRichieのボーカルは新譜からの「Static」で存分に披露されて喝采を浴びましたが、Ericも気持ち良いくらいに声がよく出ており、狭いステージ上を右に左に走り回り、ときにタコ踊り(?)のようにくねくね身体を動かしながら他のメンバーや観客を煽っていました。
しかし、煽られるまでもなく今日の観客はノリがいい。スタンディングのせいもありますが、それ以上に筋金入りのMr. Bigファンが集まっているのか、ヒット曲はもとより、新譜からの曲でもコーラス部分をしっかり大合唱しています。それもサビのワンフレーズだけといったものではなく、例えば新譜の「Superfantastic」の長いコーラスや、さらに大ヒットした「To Be With You」では1曲まるごと、といった具合。こちらも知っている限り一緒に歌いましたがとても太刀打ちできません。
このバンドの魅力は、こうしたロック・バンドとしてのノリとエンターテインメントの部分もさることながら、個々の楽器奏者がそれぞれ高い技術をもっているところにあります。そうしたテクニカルな面を強く押し出した曲も少なくない(「Addicted To That rush」など)のですが、やはりそれぞれのソロコーナーが種目別個人競技、といった感じでした。最初はRichieのギターソロ。リズム隊を後ろにつけない純粋のソロで、特に左手の技術を見せつけていました。ついでPatのドラムソロは、ハイハット中心の金物系からスネア / タムに移り、ついで存分に足技を見せる構成で、バスドラを連打しながらシンバルを鐘のように鳴らしたり着ていたTシャツを脱いだりするところはCarl Palmerのパロディーか?極め付けは、四肢をフル活用して高速連打 / タム回しを続けながらThe Beatlesの「Let It Be」をゆったりと歌うところ。このバンドは4人とも歌えるところがもう一つのポイントですが、ドラムソロの中に自分のボーカルをフィーチュアしたドラマーは初めて見ました。そしてソロのトリはやはりBillyです。彼の技術については教則ビデオでも見ていますしNiacinのライブでも堪能していますが今回はいかにもロック・ベーシストらしいソロで、自在なハーモニクス、コードプレイ、そして両手タッピングが随所に盛り込まれたソロが5分以上にわたって繰り広げられて会場は大歓声に包まれました。
アンコールは3回。2時間のステージがあっという間で、まだまだ聴き足りないという感じでしたが、照明がついて出口に向かって歩き出してみると膝ががくがく。1時間の待ち時間に加えて2時間タテノリで身体を動かしていたのだから無理もありません。ともあれ、ライブ映えする楽曲の良さ、圧倒的な演奏技術、ショーマンシップと客席のノリの良さに申し分なしのPAが結びついた、最高のライブでした。
ミュージシャン
Eric Martin | : | vocals, guitar |
Richie Kotzen | : | guitar, vocals |
Billy Sheehan | : | bass, vocals |
Pat Torpey | : | drums, vocals |
セットリスト
- Electrified
- Take Cover
- Green-Tinted Sixties Mind
- A Rose Alone
- Guitar Solo
- Alive & Kickin'
- Static
- Superfantastic
- Price You Gotta Pay
- Hiding Place
- Wild World
- Drum Solo
- Dancin' With My Devils
- Burn
- Voodoo Kiss
- To Be With You
- Daddy, Brother, Lover,Little Boy
- Bass Solo
- Addicted To That Rush
-- - 30 Days in the Hole
- Colorado Bulldog
-- - Blame It on My Youth
-- - Take a Walk