Toto
2002/12/10
東京国際フォーラムでTotoのライブ。1999年の来日から3年ぶりですが、今回は結成25周年ということでリリースされた『Through the Looking Glass』を携えての来日ということになります。この新作は全曲がカバーという大胆なもので、あまり(私には?)なじみのない曲も少なくなく、正直に言うと「なんだかなー」という感じだったのですが……。
今回も1階席の中ほど右寄。メンバーの配置は、フロントが向かって左からギター(Steve Lukather)、ボーカル(Bobby Kimball)、ベース(Mike Porcaro)。後ろは左がキーボード(David Paich)、右がドラム(Simon Phillips)で、その間にサポート・ギタリスト、さらに後方の隠れたところにサポート・キーボード。定刻の19時を少々過ぎた頃から低くノイジーな効果音が鳴りだし、会場が暗くなったところで例によってドラムのフィルが何発か入ってきます。いつ聞いてもSimon Phillipsのタムの音はパワフルで素晴らしく、またタム打ちと連動する閃光も効果的なギミックで、曲が始まる前からどんどん会場が熱気を帯びてくるのがわかります。そして1曲目はそのSimon Phillipsのジャングルビートによる変わったアレンジの「Girl Goodbye」。コーラスに入るまでこの曲だとは気付かなかったくらい、凝ったアレンジになっていました。しかし、間髪入れず演奏された「Goodbye Elenore」は打って変わって原曲にほぼ忠実なアレンジ。今は亡きJeff Porcaroのハードシャッフルが有名な曲ですが、Simon Phillipsのパワフルなドラミングでも全く違和感がありません。そのまま「Child's Anthem」「I Supply the Love」と懐かしいナンバーへのメドレーが続いて、オールドファンは大喜びでした。カバー曲「Could You Be Loved」(Bob Marley)には聴衆も戸惑いを感じていたようですが、予習済みの私はレゲエのリズムに乗ってしっかり歌わせてもらいました。
ここでLukeのMCが入り「25年!信じられないよ!」といった感じのしゃべりの後に、あの特徴的な音色のギターが入って3枚目『Turn Back』の出だしの曲である「Gift With a Golden Gun」はとにかくロック色が強力。25歳若かったらサビのコーラスは拳を振り上げて歌うところなのですが……。「JeffとGeorge (Harrison) のために」と一転してしんみり歌われた「While My Guitar Gently Weeps」はSteve Lukatherがリードボーカル。ブルーとグリーンの照明をバックに6本の白色ライトが客席の上をなめるように移動していってLukeの頭上に集まります。と、静かになった会場を盛り立てるようにカバー曲「Bodhisattva」(Steely Dan)は真っ赤な照明で、ギターとピアノの掛合い、さらにギター2本の競演となります。そしてDavid Paichの名前が呼ばれて「Africa」。この曲も歌いたいところですが、私にはBobby Kimballのボーカルラインではキーが高過ぎるので姑息にDavid Paichのパートでハモりました。この曲からMike Porcaroのゴリッとした音色のベースソロ(?)を交えながら、そのままDavid Paichのピアノソロへ移りますが、「99」のフレーズもかいま見せながらのソロはどうもタッチの感じが悪く、後で演奏された「Rosanna」のシンセソロでもリズム面でもたつくなど今日のDavid Paichは不調だったようです。
続いてサポート・ギターのTonny Spinnerがリードボーカルをとった「Stop Loving You」は、しかし彼の甘い高音ときれいなコーラスがなかなか良くてGood。相変わらずサービス精神旺盛なLukeのアコースティックギターソロでは、最後にYesの「Roundabout」が出てきて大笑い。そのまま名盤『IV』の「Waiting for Your Love」。ラテンっぽいアレンジでBobby Kimballの声もよく出ていましたが、いつの間にか曲調がジャジーになって「Georgy Porgy」へ、さらにドラミングが次第にパワフルになっていってロックらしいギターソロへと自然に移り変わっていくあたりのアレンジと演奏能力がさすがTotoで、そのまま「Hydra」の一部をはさんでこれも大好きな「English Eyes」で会場炸裂。そろそろこちらの喉がきつくなってきました。
Simon Phillipsの手数の多いドラムソロに続いて、「一緒に歌う?」とあらかじめMCが入ったバラード「I Won't Hold You Back」は打ち込み系のアレンジが施してありましたが、中間の必殺泣きのギターはやはりLukeならではのもの。そして大ヒット曲「Rosanna」は後半に珍しくLukeのピアノソロがフィーチュアされていて、その後ろでDavid Paichが腕時計を見ながら「早くピアノを返せ」といった仕種を見せたのがウケていました。しかし、そろそろ本編は終わりじゃないのか?と思っていましたがまだ続きます。『IV』の(LPではB面1曲目に入っていた)「Afraid of Love」はストレートなロックで、Simon Phillipsの真っ向唐竹割りのような2拍4拍のスネア打ちに合わせてDavid Paichもハンマーを振りおろすようなマネをします。そしていきなりの「Hold the Line」。ここでこれを出したらアンコールで演奏する曲がなくなるんじゃないかと心配になりましたが、こちらの心配をよそに曲中でメンバー紹介が始まります。特にDavid Paichが呼ばれたときにはシンセでのディストーションギターのような短いソロが飛び出し、Lukeが「He plays guitar, too.」と紹介。再びハードなアレンジの「Hold the Line」に戻ってようやく本編を終了。アンコールの1曲目は最初にDavid Paichが歌い、途中からBobby Kimballへバトンタッチ、サビのコーラスも美しい「Home of the Brave」。そして2度目のアンコールは、ピアノのイントロですぐにそれとわかる「White Sister」でした。
1999年のライブのときには、中間に比較的長いアコースティックセットがあってややだれた印象もありましたが、今回は基本的にロックっぽくまとめられ、その中に新作のカバー曲も違和感なく溶け込んでいました。たまたま同じ会場にいた、私が属しているバンドのボーカルであるすずめぐに後で聞いてみたら「ドラムは凄かったけど、あのボーカルはきらい。高音がね〜。かえってサポートの人がリードボーカルをとった曲の方がよかった」と言われてしまいました(確かにBobby Kimballの声は好き嫌いが分かれるかも)が、Totoが最も輝いていたと思われる最初の4枚からの曲をこれでもかというくらいに熱っぽく演奏してもらって、自分にとっては満足度の高いライブでした。
ミュージシャン
Bobby Kimball | : | vocals |
Steve Lukather | : | guitar, vocals |
David Paich | : | keyboards, vocals |
Mike Porcaro | : | bass |
Simon Phillips | : | drums |
Tony Spinner | : | guitar, vocals |
John Jessel | : | keyboards, vocals |
セットリスト
- Girl Goodbye
- Goodbye Elenore / Child's Anthem
- Could You Be Loved
- Gift With a Golden Gun
- While My Guitar Gently Weeps
- Bodhisattva
- Africa / Paich Solo
- Stop Loving You / Guitar Solo (including Roundabout(Yes))
- Waiting for Your Love
- Georgy Porgy
- Lion / Hydra / English Eyes / Drum Solo
- I Won't Hold You Back
- Rosanna
- Afraid of Love
- Hold the Line / Can't Get Next to You / Hold the Line
-- - Home of the Brave
-- - White Sister